2010年06月28日
【おらが湯 藤太湯伝説】(1)
昔むかし、信達平野の湖(現在の福島盆地)が干上がって、
そこが湿地帯になり大作山の麓を奥州街道が通っていた頃のお話。
『赤川』を上って行き、川幅が一番狭くなった所を『川崎』と
いった。そこになんと大きな蛇が横たわって、橋の代わりになって
いた。
そこ通る村の人も旅の人も大蛇の姿を見るとたいそう驚き、
しまいには恐ろしくなって、誰も近寄る人がいなくなってしまった。
ある日、弓を持った立派な若者がそこを通りかかり平気で大蛇の
背中を通り、向こう岸へ渡ってしまった。
すると、大蛇がパーッと美しいお姫様に姿を変えた。
「お侍さん、大蛇の背を平気で渡ったのは、貴方お一人です。
どうかお名前をお聞かせください」
とお姫様が聞いてきた。
「はい。俵藤太(たわらのとうた)と申します」
と言いながら藤太が振り返ってみると、年は20歳あまりか?
この世の人とは思えぬほどに妖しく耀くように美しい女が立っていた。
【おらが湯 藤太湯伝説(2)】につづく・・・